借地権付きマンションの相続を解説!リスクや必要な手続きとは
目次
借地権付きマンションを相続した後にそのまま所有し続けるかどうかを判断するには、所有権の物件にはない独自のリスクやデメリットを把握することが大切です。
本記事では、相続したマンションの相続手続きや所有を続ける場合の注意点、売却方法などについて解説します。
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相続後も引き続き住み続けられるか確認する方法
借地権付きマンションの相続で最も重要なのは、このまま住み続けられるかどうか、つまり「契約更新が可能か否か」という点です。
借地権には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 旧法借地権(1992年7月以前に契約)
- 普通借地権(1992年8月以降に契約・新法)
- 定期借地権(1992年8月以降に契約・新法)
借地権の種類によって、更新できるかどうかが決まります。以下の表で、3つの借地権の比較を見てみましょう。
▼3種類の借地権の比較
| 種類 | 契約の更新 | 期間満了後の対応 | マンションの特徴 |
| ①旧法借地権 | あり | 原則更新 (半永久的) | 築年数が古いマンションに多い。資産価値は維持しやすい。 |
| ②普通借地権 | あり | 原則更新 | 比較的新しいマンションに多い。旧法に近い権利。 |
| ③定期借地権 | なし | 更地返還 (建物の解体必須) | 購入価格は安い傾向にあるが、期間満了に向けて価値がゼロになる。 |
上記の通り、旧法借地権と普通借地権は借地契約の更新が可能ですが、定期借地権は契約終了とともに更地にして土地を返還しなければなりません。
次の2つの視点から解説します。
- 【更新あり】旧法借地権と普通借地権=更新可能で長く住み続けられる
- 【更新なし】定期借地権=更地返還が求められる
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【更新あり】旧法借地権と普通借地権=更新可能で長く住み続けられる
借地借家法が施行されたのが1992年と比較的新しい年代ということもあり、借地権付きマンションの多くは旧法借地権です。
建物がある限り権利が継続しやすく、所有権のマンションのように長く住み継ぐことができます。
築年数が浅いマンションでは普通借地権が多くなってきますが、こちらについても権利の種類としては旧法借地権と近いため、原則的に契約更新が可能です。
このような特徴から、相続したマンションが旧法借地権か普通借地権であれば、今後も安定的に居住し続けることが可能であり、相続後に活用する予定がある場合は非常に有効な契約といえます。
【更新なし】定期借地権=更地返還が求められる
注意が必要なのが「定期借地権」です。
原則的に更新がないため、期間満了時にはマンション全体を解体して更地返還しなければなりません。
相続時点での「残存期間」が資産価値に直結し、期間が減るほど価値は下落します。
また、土地の返還の際に必要になる解体の積立金が必要なこともあり、契約満了前に売却したいと思っても買い手がつきづらいのが実情です。
こうした事情から、相続したマンションが定期借地権であり、特にそのマンションにご自身が住む場合は、「契約終了後には原則としてマンションがなくなってしまう」点に留意しましょう。
借地権マンションを相続する4つのリスク
前章でご紹介した借地権の種類による契約更新の有無に加え、借地権付きマンションには所有権のマンションにはない4点のリスクが存在します。
- 地代や更新料・解体準備金などのコストがかかる
- 活用や売却の難易度が高い
- 住宅ローンの審査が厳しい
- 【定期借地権の場合】資産価値が「ゼロ」に向かう
相続してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、主なデメリットを把握しておきましょう。
リスク①:地代や更新料・解体準備金などのコストがかかる
最大のデメリットは、ランニングコストの負担です。
住宅ローンの返済や管理費・修繕積立金に加えて、毎月の地代を支払わなければなりません。
地代は物価上昇や周辺地価の変動に合わせて値上げを要求されることもあり、長期的な維持費が予測しづらい側面があります。
さらに、旧法借地権または普通借地権のマンションの場合は、更新時期(10年~20年が多い)が来るたびにまとまった金額の更新料を請求されるケースが一般的です。
定期借地権の場合は更新料はないものの、契約終了時に更地にして返さなければならないため、解体費用として準備金を毎月積み立てる必要があります。
リスク②:活用や売却の難易度が高い
借地権の場合、マンションの専有部分を大規模リフォームしたり、第三者へ売却したりする際に、地主の承諾が必要になります。
さらに、承諾を得る対価として譲渡承諾料などの手数料の支払いを求められることが一般的です。
地主との関係が良好であればこの交渉もスムーズに進みますが、関係が悪化していると承諾を拒否されたり、法外な承諾料を提示されたりするリスクもゼロではありません。
もし「地主と話すのが怖い」「過去にトラブルがあった」という場合は、無理に自分で交渉せず、弁護士が在籍する専門の不動産会社へ間に入ってもらうのがおすすめです。
センチュリー21中央プロパティーでは、地主との交渉をすべて専門スタッフが代行するため、現状のままでトラブル解決や売却を進めることが可能です。
リスク③:住宅ローンの審査が厳しい
借地権付きマンションは、金融機関から見ると担保評価が低くなります。
土地の所有権がないため、「万が一の際に土地を処分して債権を回収することが難しい」ことがその理由です。
その結果、売りに出した借地権付きマンションを買いたいという人が現れても、住宅ローンを利用しにくかったり融資条件が厳しくなったりするため、通常のマンションよりも売却に時間がかかる傾向にあります。
また、マンションを相続した子どもが「残りの住宅ローンを借り換えたい」と考えても、同じ理由で審査に通らないことがあります。
そのため、借地権付きマンションの相続前にはローンの借り換えができない場合の支払いのシミュレーションをしておきましょう。
リスク④:【定期借地権の場合】資産価値が「ゼロ」に向かう
先述の通り、定期借地権のマンションは所有権や更新ありの借地権付きマンションと違い、借地期間が終われば建物を取り壊して返還する必要があります。
つまり、将来的に資産価値はほぼゼロになるということです。
この理由から、子どもの世代に残す財産や老後の売却資金として期待しすぎるのは危険な考えと言わざるを得ません。
契約の残存期間が短くなるにつれて購入希望者も減ってくるため、最後まで住み続けるか売却するかは可能な限り早い段階で判断することをおすすめします。
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借地権マンションならではのメリット2選
デメリットに目が向きがちですが、借地権付きマンションには所有権にはない2つのメリットが存在します。
- 土地の固定資産税・都市計画税がかからない
- 立地が良い物件が多く賃貸需要が見込める場合もある
メリット①:土地の固定資産税・都市計画税がかからない
借地権付きマンションの所有者は土地を所有していないため、固定資産税や都市計画税は建物の部分だけを負担することになり、土地部分に対しての納税義務は地主が負います。
都心の一等地など地価が高いエリアでは、土地の固定資産税だけでも相当な金額です。
そのため、毎月(あるいは毎年)の地代を支払ったとしても、トータルの維持費で比較すれば所有権マンションより安く済むケースも見られます。
メリット②:立地が良い物件が多く賃貸需要が見込める場合もある
借地権付きマンションは、お寺や神社、古くからの大地主が所有する土地に建てられることが多く、駅近や住環境の整った好立地にある物件が少なくありません。
立地が良ければ、自分が住まなくても賃貸物件として貸し出すことで、安定した家賃収入を得られる可能性があります。
売却価格が所有権物件より割安である点を逆手に取り、利益率の高い投資物件として運用するのも一つの選択肢です。
賃貸物件として活用する際に地主の承諾は不要ですが、後々の「言った・言わない」のトラブルを避けるためにも、事前に通知しておくことをおすすめします。
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借地権マンションの相続税評価額は安くなる?計算方法
ここからは、借地権付きマンションの相続税について次の2つの観点から解説します。
- 土地の評価額×借地権割合で計算される仕組み
- 所有権マンションと比較したシミュレーション事例
土地の評価額×借地権割合で計算される仕組み
借地権の相続税評価額は、その土地が更地(建物が立っていない状態の純粋な土地の市場価格)だった場合の評価額に借地権割合(土地に占める借地権の権利割合)を掛けて算出します。
具体的な計算式は以下の通りです。
| 借地権の評価額 = 自用地としての評価額(路線価 × 面積)× 借地権割合 |
借地権割合は地域や場所によって国税庁が定めており、住宅地では概ね60%~70%程度です。
例えば、更地評価が5,000万円で借地権割合が70%の場合、借地権の評価額は3,500万円となります。
所有権マンションと比較したシミュレーション事例
同じ立地条件のマンションで、所有権と借地権の場合を単純比較してみましょう。
- 所有権マンションの場合
土地評価額:5,000万円
建物評価額:1,000万円
▶相続税評価額合計:6,000万円 - 借地権付きマンションの場合(借地権割合70%)
土地(借地権)評価額:5,000万円 × 70% = 3,500万円
建物評価額:1,000万円
▶相続税評価額合計:4,500万円
このように、借地権であるだけで評価額が大きく下がり、結果として相続税の節税効果が期待できるのです。
小規模宅地等の特例は適用できるのか?
亡くなった方が居住していたマンションを配偶者や同居親族が相続する場合、「小規模宅地等の特例」が適用できる可能性があります。
この特例を使えば、土地(借地権)の評価額を最大80%減額できます。
借地権であっても適用要件は通常の土地と同じであるため、要件を満たせばさらに大幅な節税が可能です。
▼適用要件(居住用宅地の場合の概要)
- 被相続人(亡くなった方)が居住していた宅地である。
- 相続人が配偶者であるか、あるいは一定の条件を満たす親族である。
- 適用面積:330㎡(100坪)までの部分が対象※。
- ※賃貸用の場合は上限面積200㎡
ただし、相続税の計算は複雑になりがちで、個人で行うとミスが出る可能性も高い手続きです。
そのため、司法書士や税理士と連携している借地権専門の不動産会社へ相談することで、税務面も含めたワンストップのサポートを受けることをおすすめします。
借地権マンションを相続する際の手続きと地主への対応
続いて、借地権マンションを相続する際の手続きや地主への対応のポイントとして、次の3点を解説します。
- 相続自体に地主の承諾や承諾料は不要
- 相続登記は必ず行う
- 地主へ相続した旨を通知・挨拶する際のマナー
相続のポイント①:相続自体に地主の承諾や承諾料は不要
売却や贈与とは異なり、「相続」は法律上の地位が当然に承継されるものであり、借地権を相続すること自体には地主の承諾は不要です。
したがって、地主に対して「名義変更料」や「承諾料」といった一時金を支払う義務も原則としてありません。
相続の際、地主から「名義変更料を払ってほしい」と請求されても、法的には支払う必要がないことを覚えておきましょう。
相続のポイント②:相続登記は必ず行う
借地権付きマンションを相続したら、必ず相続登記を行いましょう。
借地権では、借地上の建物が未登記だったり、親の名義のままになっていたりすると、「ここは自分が住むために借りている土地だ」という権利を、第三者に対して主張できません。
これは、何らかの事情があって地主が変わった場合などに、新しい地主に自分の権利を主張できず、その居住地を追い出されるリスクがあるということになります。
また、相続登記は2024年4月から義務化されており、放置すると10万円以下の過料を課される可能性もあるため、早急な登記手続きを心がけてください。
なお、相続登記は書類の収集や作成等で専門的な知識を必要とする場面が多いため、司法書士に依頼するのが一般的です。
相続のポイント③:地主へ相続した旨を通知・挨拶する際のマナー
承諾や承諾料は不要ですが、今後も地代を支払い、契約関係を続けていく関係となるため、地主への連絡は必須です。
「相続が発生し、私が借地権を引き継ぐことになりました」という旨を速やかに伝えましょう。
その際、新しい連絡先や地代の振込名義が変わることを書面で通知しておくとトラブル防止になります。
良好な関係を築いておくことは、将来売却や更新をする際の交渉をスムーズにするためのカギとなります。
相続した借地権マンションを手放したい!3つの売却方法
借地権付きマンションを相続しても、「自分で住む予定がない」「維持費がもったいない」というような場合は「売却」を検討することになります。
借地権付きマンションの売却方法は、次の3つです。
- 仲介業者を通じて第三者へ売却する
- 買取業者へ売却する
- 地主に買い取ってもらう
売却方法①:仲介業者を通じて第三者へ売却する
最も有効なのが、借地権専門の仲介業者を通じて一般の個人などの第三者へ売却する方法です。
ただし、前述の通り地主の承諾と、承諾を得る対価として借地権価格の10%程度を「譲渡承諾料」として地主に支払う必要があります。
仲介業者を利用する場合、契約までに2~4週間程度の時間が必要になることが多いものの、更地価格の60~70%と比較的高額で売却できることが多いため、可能な限り高く売りたいという方にとっては有力な選択肢になるでしょう。
また、定期借地権など通常は売却が難しい物件でも、広範なネットワークを持つ仲介業者であれば買い手を見つけることが可能です。
借地権専門の仲介業者であるセンチュリー21中央プロパティーでは、独自の入札制度で富裕層投資家や不動産投資法人へ広くアプローチすることで、相場以上の最高値売却を実現しています。
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売却方法②:買取業者へ売却する
業者を利用した売却には、仲介業者ではなく買取業者を選ぶという選択肢も存在します。
条件の良い買い手を仲介する仲介業者とは異なり、買取業者は業者自身が借地権を直接買い取るという方法を取ることが特徴です。
その性質上、買取完了~現金化までのスピードは非常に早いものの、売却価格は市場価格の50%以下と大きく下がってしまう傾向にあります。
そのため、「多少安くなってもなるべく早く借地権を手放したい」という方は、買取業者を検討してみるのもおすすめです。
売却方法③:地主に買い取ってもらう
このほか、地主自身に借地権を買い取ってもらうという方法を取ることも可能です。
地主にとっては、借地権を買い戻すことで土地を完全な所有権(更地)に戻せるというメリットがあります。
承諾料が不要で、仲介手数料もかからないケースが多いですが、買取価格は市場価格の50%程度になることが多く、特段高額で買い取ってもらえるわけではありません。
第三者を挟まないため条件さえ合えばスムーズに話がまとまりますが、地主に借地権を買い取る意思と資金があることが前提となるため、売買が成立しない場合も珍しくありません。
また、定期借地権の場合は何もしなくても契約終了後に土地が手元に戻ってくるため、この方法で手放すのはハードルが高いでしょう。
なお、この方法は実質的に土地を地主に返還する形になるため、売買契約書ではなく「土地変換に関する合意書」を締結するケースもあります。
まとめ
借地権付きマンションは、管理費・修繕積立金のほかに地代の負担や地主とのやり取りなど、所有権の物件にはないリスクが存在します。
立地の良さなどのメリットもありますが、上記のリスクを加味して、相続後も所有するか手放すかを決断しましょう。
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この記事の監修者
弁護士
エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。
特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。
著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。