借地権付き建物は売れない!?その理由と売却のコツについて解説
目次
「借地権付き建物は売れない」と思っていませんか?
確かに借地権は、一般的な不動産と比べて「買い手が見つかりにくい」「地主に譲渡承諾を貰う必要がある」などの特徴があります。
この記事では、「借地権付き建物は売れない」と言われる理由と売却するためのコツについて解説します。
借地権付き建物が「売れない」と言われる4つの理由
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由は、以下のような特徴から「購入需要が少ない」、つまり「買いたい人が少ないから」です。
- 売却・増改築に地主の承諾が必要
- 各種承諾料の支払いが必要
- 地主とトラブルになる可能性がある
- 住宅ローンが組めない
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由①:売却・増改築に地主の承諾が必要
借地権付き建物が敬遠される大きな要因の一つは、売却や増改築の際に必ず地主の承諾が必要で、所有者の自由にできない点です。(借地借家法17条・19条)
建物の売却・構造変更・用途変更・などは、借地人が勝手に実行できません。
増改築は、土地の利用状況に大きく影響するため、地主は「建物が大きくなりすぎないか」「用途が変わらないか」などをチェックする権利があります。
売却についても、新しい借地人が契約をきちんと守るかというリスクがあるため、地主の承諾が不可欠です。
また、売却や増改築の際には、承諾料が発生するため、買主にとっては追加コストとなります。
もし無断で増改築や売却を行った場合、契約違反となり、裁判になるリスクさえあります。
このように、所有者であっても自由にリフォーム・建替え・売却ができないという制約が、購入検討者にとって大きな不安材料となり、結果的に借地権付き建物が売れにくくなるのです。
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由②:各種承諾料の支払いが必要
借地権付き建物が敬遠される理由の一つに、増改築や売却などの手続きごとに地主へ「承諾料」を支払う必要がある点があります。
これは、地主が不利益を受ける可能性に対する補償や、事務手続きの対価として認められている慣行です。
代表的な承諾料の目安は次のとおりです。
| 譲渡承諾料 | 借地権価格の10%程度 |
| 増改築承諾料 | 更地価格の3〜5% |
| 条件変更承諾料 | 更地価格の10%程度 |
特に「条件変更承諾料」は、木造→RC造への建替え、住居→事業用への転用、戸建→賃貸アパートへの建替えなど、
土地の利用価値が大きく変わる場合に必要となり、金額が高額になりやすい項目です。
さらに、承諾料には法律で明確な金額基準がないため、地主との交渉が難航しやすく、トラブルになりがちという問題もあります。
そのため、物件購入を検討する段階で、どの手続きに承諾が必要なのか、承諾料はいくらか、事前に書面で確認しておくことが不可欠です。
このような追加コストの存在が、借地権付き建物が「売れにくい」と言われる大きな理由となっています。
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由③:地主とトラブルになる可能性がある
借地権付き建物は、通常の不動産と違い「土地を借りて利用する」ため、地主との関係が良好であることが極めて重要です。
しかし、売買・増改築・更新・承諾料の金額交渉など、地主とのやり取りが多岐にわたるため、トラブルに発展しやすいという大きな弱点があります。
たとえば、
- 承諾料の金額に折り合いがつかない
- 地代改定の話し合いが長引く
- 更新料の支払いを巡って意見が食い違う
- 空き家状態が原因で、管理不足を指摘される
- 売却相手に対して地主が承諾しない
など、実際の現場ではさまざまな問題が起こり得ます。
さらに、地主の意向ひとつで手続きが進まなくなるケースもあるため、購入希望者は「今後の付き合いが大変そう」と感じ、敬遠しがちです。
このように、地主との関係性が購入後のリスクとして重くのしかかるため、市場での需要が下がり、借地権付き建物は売れにくくなるのです。
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由④:住宅ローンが組めない
借地権付き建物が売れにくい大きな要因の一つが、住宅ローンが組めない可能性がある点です。
土地を所有していないため、担保価値が低く見られやすいことに加え、金融機関は必ず「地主の融資承諾書」の提出を求めます。
この融資承諾書には、
- 借地人が地代を滞納した場合は契約解除前に銀行へ通知する
- 銀行が担保権を実行する場合は協力する
など、地主側に一定の義務が課されます。
そのため、地主が融資承諾に応じないケースが多く、結果的にローン利用が難しくなるのです。
また、借地権の存続期間がローン期間より短いと、融資不可となる金融機関もあります。
これらの条件が重なることで、借地権付き建物を購入できるのは 「現金購入できる人」または「条件の緩い金融機関を利用できる人」 に限られてしまいます。
つまり、買主候補が極端に少なくなるため、市場で売れにくい物件になりやすいのです。
購入を検討する場合は、事前にローンの可否を確認し、資金計画を慎重に立てる必要があります。
借地権付き建物の売却方法

「借地権付き建物は売れない」と言われていますが、法的に借地権付き建物を売却すること自体は可能で、売却方法もいくつか選択肢があります。
借地権付き建物の売却方法は以下の通りです。
- 地主に買い取ってもらう
- 第三者に売却する
- 等価交換した後に売却する
- 底地と同時売却する
借地権付き建物の売却方法①:地主に買い取ってもらう
借地権付き建物を売却する方法の一つは、地主に買い取ってもらうことです。
これを「借地権の買い戻し」と呼ぶこともあります。
この場合、借地人は土地の所有者である地主に対して、借地権付き建物を購入するよう交渉します。
地主にとっては、土地を自由に再活用できるメリットがあります。
ただし、地主に建物を買い取る義務はないことから、売買価格は市場価格よりも低くなる可能性が高いです。
一般的に、借地人から地主に借地権の買取を依頼する場合、売買価格の相場は更地価格の30%~50%程度になると言われています。
金額や条件面の交渉ハードルが高い方法のため、借地人が地主に直接交渉するよりも、借地権に詳しい不動産業者に交渉を代行してもらうのがおすすめです。
借地権付き建物の売却方法②:第三者に売却する
借地権は、第三者に売却することができます。
地主に直接売却するよりも、第三者に売却する方が一般的に高い価格で取引される傾向があります。
しかし、この第三者への売却を有利に進めるためには、どのような不動産業者を選ぶかが極めて重要です。
ここで、「買取業者」と「専門仲介業者」の決定的な違いを理解しておく必要があります。
「買取業者」と「専門仲介業者」の決定的な違いは、”借地権を買い取る目的”です。
できるだけ安く仕入れたい「買取業者」は、売主から直接共有持分などを買い取り、最終的に不動産全体を取得した上での高額転売を目指します。
そのため、売主とは利益が相反する関係になり、価格交渉もしにくいのが一般的です。
一方、売主の希望に沿った買主を探す「専門仲介業者」は、持分を“安く売らせたい”という動機がありません。
むしろ、売却価格が高くなるほど得られる仲介手数料が増えるため、売主と利益が一致します。
専門仲介業者は、売主と買主の間に立ち、適切な買い手を見つけるサポートを行い、市場価格に近い金額で売却できる可能性を高めます。
借地権のように専門知識を要する不動産の売却においては、まさに売主様と同じ目的で買主様との橋渡しを行う「専門仲介業者」への依頼を強くおすすめします。
私たち「センチュリー21中央プロパティー」は、まさに売主様の利益を第一に考え、適正価格での売却を目指す借地権専門の仲介業者です。
豊富な経験と専門知識に基づき、借地権の複雑な権利関係や市場動向を的確に捉え、お客様にとって最善の売却戦略をご提案いたします。
借地権付き建物の売却方法③:等価交換した後に売却する

借地権における等価交換とは、土地と建物の権利を交換し、その後に売却する方法です。
具体的には、借地人が持つ借地権と地主が持つ底地権の一部または全部を交換し、土地と建物の所有権を一体化させる手法です。
下図のように、等価交換を行うことで、Bさん(借地人)は完全所有権の土地と建物を第三者に売却できるため、借地権付き建物を単体で売却するよりも、不動産価値が高く、高値での売却が実現します。
ただし、等価交換の契約内容は詳細に決める必要があり、地主と双方の合意が不可欠です。
完全所有権の土地を手に入れることができるメリットがありますが、条件の調整が必要になるため、交渉に時間がかかる点はデメリットと言えるでしょう。
また、税金面での取り扱いも複雑になるため、専門家への相談が不可欠です。
借地権付き建物の売却方法④:底地と同時売却する
地主に底地を手放しても良い、という意思がある場合、同時売却もおすすめな方法です。
同時売却は、底地と借地権付き建物を同じタイミングでセットで売却する方法です。
買い手としては、完全所有権の不動産が手に入るため、購入需要は高まります。
これにより、借地権単体や底地単体で売却するよりも高値での売却が期待できます。
ただし、こちらも売買代金を借地人と地主の間で、どのように分配するのか、協議がまとまらないケースがありますので、同時売却を検討する際は、借地権専門の不動産会社に一度相談してみると良いでしょう。
地主の譲渡承諾が貰えない場合の2つの対処法

①借地非訟手続を行う
借地権の売却(譲渡)には、地主の承諾が必要です。
地主の承諾が得られない場合は、裁判所に対して借地条件変更等の申立ての一つとして、借地非訟手続(借地権譲渡許可の申立て)を行います。
借地非訟手続とは、地主の代わりに裁判所に譲渡承諾に代わる許可を求める手続きのことです。
借地非訟手続の流れは以下の通りです。
- 申立書の提出
- 審問
- 鑑定委員会の意見聴取
- 和解勧告または決定
借地非訟手続は、裁判所を介して借地契約に関する問題を解決する手続きであり、主に調整や調停を通じて解決を図ります。
訴訟と異なり、当事者間の合意に基づいて解決を目指しますが、合意が得られない場合は裁判所が下した命令に基づき、借地権の譲渡承諾の可否を決定します。
この際、裁判所は譲渡承諾料の支払いを条件とすることが一般的です。
②センチュリー21中央プロパティーに相談する
一般的に、借地権は地主の承諾がなければ、第三者に売却することはできません。
もし地主の承諾が得られない場合でも、前述した借地非訟手続を利用したり、専門の不動産業者の中には、地主との交渉代行や、場合によっては売却の支援を行ってくれるところもあります。
私たちセンチュリー21中央プロパティーは、10年以上、借地権の売買仲介を専門に行ってきたノウハウを活かし、「地主の承諾を得られないケースでの借地権売却」をサポートしてまいりました。
借地権に強みを持つ社内弁護士が常駐しており、いつでも的確なアドバイスをご期待いただける体制を整えております。
借地権付き建物を好条件で売却するためのコツ

「借地権付き建物は売れない」と言われるほど、売却までに様々なハードルがあります。
しかし、借地権付き建物はコツを押さえればより良い条件で売却することができます。
借地権付き建物を好条件で売却するためのコツは、以下の通りです。
- 地主との良好な関係を築く
- 借地権に詳しい弁護士や不動産会社に相談する
- 借地権の価値を正しく理解する
- 地主の承諾が得られないなら中央プロパティーへ
借地権付き建物を好条件で売却するコツ①:地主との良好な関係を築く
借地権付き建物の売却を円滑に進めるためには、地主との良好な関係が非常に重要です。
日頃から地代の支払いを滞りなく行い、契約内容を遵守することはもちろん、売却を検討し始めた段階で、誠意をもって地主に相談することが望ましいでしょう。
地主の理解と協力を得られれば、譲渡承諾や条件交渉がスムーズに進む可能性が高まります。
借地権付き建物を好条件で売却するコツ②:借地権に詳しい弁護士や不動産会社に相談する
借地権付き建物は、一般的な不動産の売買とは異なり、多くの専門知識が必要となります。
一見、大手の不動産会社に相談したほうがしっかりとした対応をしてもらえるイメージがありますが、借地権付き建物については、そうとは限りません。
まず、借地権の契約書の内容を正確に理解し、売却時のリスクや注意点を整理する必要があります。
その後、多くのケースでは、地主に対して交渉を進めることになるため、高い交渉スキルや解決ノウハウを有していなければ、交渉が難航してしまうのです。
最悪のケースでは、地主との関係性が悪化してしまうこともあるため、必ず借地権に詳しい弁護士または不動産会社を選びましょう。
なお、センチュリー21中央プロパティーには、借地権に強みを持つ社内弁護士が常駐しておりますので、いつでも法的な見地からの的確なアドバイスをご期待いただけます。
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借地権付き建物を好条件で売却するコツ③:借地権の価値を正しく理解する
借地権付き建物は、通常の不動産と比較して制約が多い分、不動産の評価額が低くなる傾向があります。
しかし、中には相場よりも大幅に安い査定額を提示し、安く買い叩こうとする悪徳な業者も存在します。
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この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21 中央プロパティー 代表取締役/宅地建物取引士
都内金融機関、不動産会社での経験を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを設立。長年にわたり不動産業界の最前線で活躍するプロフェッショナル。
借地権の売買に精通しており、これまでに1,000件以上の借地権取引や関連する不動産トラブル解決をサポート。底地や借地権付き建物の売却、名義変更料や更新料の交渉など、複雑な借地権問題に従事。
著書に「地主と借地人のための借地権トラブル入門書」など多数の書籍を出版。メディア出演やセミナー登壇実績も豊富で、難解な相続不動産問題も「わかりやすい」と説明力に定評がある。