旧法借地権は「買ってはいけない」と言われる6つの理由とは?
目次
「旧借地権付きの物件は安いけれど、買ってはいけないと聞いた」
そんな噂を耳にして、購入を迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、旧法借地権の概要と敬遠されがちな理由、購入時の判断ポイントなどを分かりやすく解説します。
センチュリー21中央プロパティーに所属する借地権の専門家はこちら ≫
旧借地権は「一概に買ってはいけない」ものではない
所有権に比べ、旧法借地権の建物は安く購入できます。
その理由は、地代等のコストや地主とのコミュニケーション、売却のハードルの高さといった多くのデメリットの存在です。
こうしたリスクを踏まえず、価格の安さだけを重視して購入した場合、旧法借地権の家は確かに「買ってはいけない」ものになる可能性は高いでしょう。
しかし逆に言えば、これらのデメリットを許容できるだけのメリット(立地や初期費用の安さ)に魅力を感じる人にとって、旧法借地権の家は一概に「買ってはいけない」ものではないのです。
具体的には、以下のような方にとって旧法借地権の購入は有力な選択肢になり得ます。
- 都心の人気エリアに住みたいが、所有権には手が届かない
- 資産価値より現在の住環境と利便性を優先したい
- ローン借入額を抑えたい、または現金購入したい
- 将来的に資産を子供に残す予定がない
次章からは、旧法借地権の購入がご自身にとって良いものであるか否かを判断する目安として、概要やメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
そもそも「旧法借地権」とは?新借地権との違い
借地権とは、「地主から借りた土地に建物を建てて利用できる権利」のことですが、借地契約が結ばれた時期によって適用される法律が異なります。
ここでは、旧法借地権の概要と新法借地権との違いを次の2つの視点から解説します。
- 旧法借地権=1992年7月以前に結ばれた借地契約に適用される権利
- 旧法借地権の特徴と新法借地権との違い
旧法借地権=1992年7月以前に結ばれた借地契約に適用される権利
この記事でご紹介する旧法借地権は、1992年7月31日以前に結ばれた借地契約に適用される借地権のことで、「旧借地権」と呼ばれることもあります。
旧法借地権に対し、1992年8月以降に結ばれた借地契約に適用されるのは借地借家法という新法に基づく借地権(普通借地権・定期借地権)です。
「旧法」というと非常に古いもののような印象を受けるかもしれませんが、新法の施行以前に結ばれた借地契約は借地権全体の中でも依然最も多く、現在でも市場に出回る中古物件の多くは旧法借地権です。
旧法借地権の特徴と新法借地権との違い
旧法借地権の最大の特徴は、「借地人の権利が非常に強い」ことです。
契約期間が満了しても、借地人の地代滞納などの正当事由がない限り、借地契約は原則として更新され続けます。
地代を払う限り半永久的に住み続けられるため、借り手には安心ですが、地主にとっては不満が生じやすい構造といえます。
以下で、新法の借地権との比較を見てみましょう。
| 借地権の種類 | 契約の時期 | 特徴 | 更新 | 契約期間 |
| 旧法借地権 | 1992年7月31日以前 | ・借地人の権利が強く、正当事由がない限り半永久的に更新可能。 ・一般的な戸建て住宅に多い。 ・現在最もよく見られるタイプの借地権。 | あり | ・最低20年 |
| 普通借地権(新法) | 1992年8月1日以降 | ・旧法に近いが、更新拒絶の要件が明確化し、期間は短くなる傾向。 ・一般的な戸建て住宅に多い。 | あり | ・初回更新まで:最低20年 ・更新2回目以降:最低10年 |
| 定期借地権 (新法) | ・期間満了で借地権が消滅。更新はなく、更地返還が必須。 ・マンションや建売住宅に多い。 | なし | ・最低50年 |
新法の普通借地権は旧法借地権に近いものの、契約期間が短く更新拒否の要件も明確化されています。
同じく新法の定期借地権については、昨今マンションなどで人気の契約形態ですが、そもそも更新がないため契約満了後は更地にして地主に土地を返さなければなりません。
こうした比較を踏まえ、旧法借地権は「長期間に渡って安定的に住み続けたい方に向いた借地権」といえます。
【徹底解説】旧法借地権は買ってはいけないと言われる6つの理由
権利が強いはずの旧法借地権が「買ってはいけない」と敬遠されがちな理由として、次の6点を解説します。
- 地主の承諾がないと増改築や売却・転貸が自由にできない
- 地代・更新料・承諾料などの維持コストが継続的に発生する
- 地主との人間関係や相続トラブルに巻き込まれるリスク
- 住宅ローンの審査が厳しく利用できる金融機関が限られる
- 土地の所有権がないため資産価値の恩恵を受けにくい
- 出口戦略が難しい(将来的な売却が困難で相場も安くなる)
また、章の最後にはデメリットを踏まえて「買ってはいけない人・検討の余地がある人」の特徴もご紹介しますので、あわせてご覧ください。
理由①:地主の承諾がないと増改築や売却・転貸が自由にできない
旧法借地権付き建物の建て替えやリフォーム・また売却といった行為は、原則として地主の承諾が必要です。
どうしても承諾が得られない場合、「借地非訟」という法的手段が必要となり、膨大な手間と費用がかかります。
地主との関係性を維持しつつ、こうした手間も避けたい場合、我慢して現状の家に住み続ける選択をせざるを得ません。
このように、自分名義の建物でありながら活用に制限がかかる点は、旧法に限らず借地権が敬遠される大きな理由の1つです。
【社内弁護士が常駐】借地権のトラブル解決はお任せください! ≫
理由②:地代・更新料・承諾料などの維持コストが継続的に発生する
借地権つき建物を購入した後は、毎月(あるいは毎年)の「地代(=土地の使用料)」と、契約更新時の「更新料」が必要になります。
地代は年間で100万年を超えることも多く、毎月10万円以上の出費となるケースも珍しくありません。
また、更新料は支払いの頻度こそ20年に一度程度ですが、都市部では数百万円にのぼるケースも存在します。
こうした出費だけでなく、先述の建て替えやリフォーム・売却が承諾された場合、承諾料として100万年単位のお金が必要になります。
維持する上で必要になるこれらのコストも、借地権が敬遠される理由の代表的なものです。
理由③:地主との人間関係を原因とするリスク
借地契約においては地主とのコミュニケーションが発生することも多いため、借地人と地主との信頼関係は非常に重要です。
立地や建物・コストに不満がなくても、地主との人間関係が悪くなると、日頃から心理的な負担を抱えることになり、安定的に住み続けることが難しくなります。
こうした関係性の悪化は、相続時に地代の値上げを要求されたり、建て替えやリフォームの承諾をしてもらえなかったりと、借地権の維持に関わるコストや契約周りにも悪影響を与えることがあります。
このような人間関係を「煩わしい」と考える人にとって、借地権は購入しづらいものと感じられるでしょう。
理由④:住宅ローンの審査が厳しく利用できる金融機関が限られる
借地権では土地の担保価値がないため、住宅ローンの審査は厳しくなります。
そのため、新築の所有権物件に比べてローンを組んでくれる金融機関を探すのに非常に苦労します。
「やっぱりローンを組んでくれるところはなかった…」という結果にもなった場合、現金一括で購入せざるを得ない可能性も大いにあります。
理由⑤:土地の所有権がないため、資産価値の恩恵を受けにくい
繰り返しになりますが、借地権は建物は自分のものですが、土地は地主からの借り物です。
そのため、地価が上がっても恩恵を受けるのは地主(底地)であり、借地権者は地代値上げの可能性が高まるというリスクだけを負うことになります。
この点から、自分で居住するのではなく「不動産で資産形成したい」と考える方にとっても、借地権は敬遠される物件となります。
理由⑥:出口戦略が難しい(将来的な売却が困難で相場も安くなる)
最後にご紹介するデメリットが、出口戦略の難しさです。
ここまでお伝えしてきたように、活用の制限やコストの高さ・人間関係の煩雑さなど、旧法借地権付きの物件には多くのデメリットが存在します。
そのため、いざ手放そうとしても所有権の物件に比べて圧倒的に買い手がつきにくいのです。
売却価格も所有権相場より大幅に安くなり、売り急ぐと二束三文といってもいいような価格になる可能性もあります。
もし高額で売却したい場合、借地権専門の不動産仲介会社に相談しましょう。
旧法借地権の物件を購入するメリット3選
前章ではデメリットをご紹介しましたが、旧法借地権ならではの以下のようなメリットも存在します。
- メリット①土地の購入価格がかからない
最大のメリット。周辺の所有権相場の6割~8割程度で購入できるケースが多く、初期費用を大幅に抑えられる。 - メリット②土地に対する固定資産税・都市計画税の負担がない
土地の税金は地主が支払うため、借地人の負担なし(ただし地代の金額を踏まえたトータルコストの比較が重要)。 - メリット③好立地の物件が多い
古くからの借地権物件は駅近や高級住宅街など好立地に多く、利便性・ステータス重視の層に需要が高い。
これらのメリットも踏まえて、次章をご覧ください。
旧法借地権の物件を「買ってはいけない人」と「検討余地がある人」
ご紹介してきた旧法借地権のメリット・デメリットを踏まえ、旧法借地権付き物件の購入を避けるべき人とそうでない人の特徴を以下の通りご紹介します。
▼買ってはいけない人の特徴
- 自由に家を建て替え・改築したい方:建て替え・リフォーム等あらゆる活用に地主の承諾と承諾金の支払いが必要となる。
- 煩雑な人間関係を避けたい方:契約更新や交渉に伴う地主との密なコミュニケーションがストレスになる可能性がある。
- 資産として不動産を増やしたい方:土地の所有権がなく売却もしづらいため、手持ちの資産を増やしたい方には不向き。
▼検討余地がある人の特徴
- なるべく安価に人気エリアに住みたい方:所有権物件に比べ、比較的安価なコストで利便性が高く人気のエリアに住める。
- 購入費用を抑えたい方:所有権物件に比べて購入価格が安いため住宅ローンの負担が軽く、生活費を充実させられる。
- 維持コストを必要と割り切れる方:上記のメリットを踏まえて、毎月の地代を「家賃」と捉えられるなら合理的。
ぜひ、ご自身が旧法借地権付きの物件を購入すべきかどうかの目安としてみてください。
失敗しないために!旧法借地権購入前のチェックポイント
最後に、旧法借地権付きの物件を購入する前のチェックポイントとして、次の6点をご紹介します。
- 借地権の登記対抗要件が満たされているか
- 契約書の内容(期間・地代・更新条件・特約)の精査
- 地主の人柄や過去のトラブル履歴、管理状況の確認
- 再建築の可否(接道義務など)と承諾の可能性
- 将来的な「底地買取」の交渉余地があるか
- 借地権に強い専門家やローン取扱金融機関の確保
ポイント①:借地権の対抗要件が満たされているか
通常、物件を購入した場合は登記簿上の名義を購入者のものに変更しますが、旧法借地権付きの建物についてもそれは同様です。
万が一、建物が未登記あるいは前の借地人の名義のままになっていると、地主が代わった場合などに「自分が借りて住む土地だ」という権利を主張できません(これを「対抗要件」が備わっていない状態、という)。
最悪、新しい地主に立ち退きを求められることもあるということです。
この点を踏まえ、旧法借地権付きの物件を購入する際は司法書士や不動産会社に相談し、登記関連に不備がないかを重点的に確認しましょう。
ポイント②:契約書の内容(期間・地代・更新条件・特約)の精査
旧法借地権付きの物件を購入する際は、地主と前の借地人が結んだ賃貸借契約書の内容がそのまま引き継がれるのか、それとも結び直すのかを確認する必要があります。
特に、更新料や建て替え承諾料、地代とその改定ルールがどうなっているかの確認と、万一購入者に不利な条件だった場合は変更の交渉が必要です。
こちらも専門的な内容となるため、代金の決済前に専門家へのチェックを依頼するのが安心です。
ポイント③:地主の人柄や過去のトラブル履歴、管理状況の確認
借地権つき建物の購入にあたっては、地主の人柄やトラブル履歴、管理状況も非常に大切なポイントになります。
購入予定の物件を取り扱う不動産仲介会社などに確認し、「今後長く付き合っていける人物か否か」をしっかりと見極めましょう。
まとめ
旧法借地権付きの物件は、リスクや制約を理解し、自身の要望やライフスタイルに合うものであれば、必ずしも「買ってはいけない」ものではありません。
今回ご紹介した旧法借地権付きの物件の特徴やメリット・デメリットを踏まえ、後悔のない選択肢を選びましょう。
旧法借地権に関する懸念がある方は、ぜひ借地権専門の不動産仲介会社・センチュリー21中央プロパティーにご相談ください。
実績豊富な社内弁護士が常駐しており、契約書チェックや法的アドバイスも万全です。
お客様の安心な借地権取引を全力でサポートいたしますので、お気軽にご連絡ください。
【ご相談~売却まで完全無料!】借地権の売却ならセンチュリー21中央プロパティー ≫

地主とのトラブル、借地権の売却にお悩みの方は、ぜひ当社の無料相談窓口をご利用ください!
「まずは査定額を知りたい」という方は、以下の無料査定フォームをご利用ください。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21 中央プロパティー 代表取締役/宅地建物取引士
都内金融機関、不動産会社での経験を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを設立。長年にわたり不動産業界の最前線で活躍するプロフェッショナル。
借地権の売買に精通しており、これまでに1,000件以上の借地権取引や関連する不動産トラブル解決をサポート。底地や借地権付き建物の売却、名義変更料や更新料の交渉など、複雑な借地権問題に従事。
著書に「地主と借地人のための借地権トラブル入門書」など多数の書籍を出版。メディア出演やセミナー登壇実績も豊富で、難解な相続不動産問題も「わかりやすい」と説明力に定評がある。