借地権の譲渡に地主の承諾は必要?【専門家が徹底解説】
借地権の譲渡に地主の承諾は必要?【専門家が徹底解説】

目次
「借地権を譲渡したいけど、地主の承諾は必要かな?」
「どうやって譲渡するのだろう」
「地主が承諾しなかったらどうすればよいの?」
借地権の譲渡を検討している方は、上記のような疑問を抱いているのではないでしょうか。
借地権上に建物を所有している方は、建て替えや売却する際地主の承諾が必須となりますが、譲渡の場合も必要なのでしょうか。
この記事では、借地権の譲渡に関する地主の承諾の必要性と譲渡方法、地主が承諾しない場合の対処方法について、借地権の専門家が分かりやすく解説します。

借地権の譲渡とは
借地権の譲渡とは、借地人が持つ「土地を借りる権利(借地権)」を、売買や贈与などによって第三者へ移転させることを指します。
借地権付き建物を売却する場合が、この譲渡の典型例です。
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借地権の譲渡には、原則として地主の承諾が必要
結論から言うと、借地権の譲渡には地主の承諾が法律上必要です。
譲渡とは、売買(有償)や贈与(無償)を問わず、借地人の権利を第三者に移転させる行為全般を指します。
民法第612条では、賃借人は貸主の承諾がなければ、その権利を譲り渡したり、借りた物を又貸ししたりできないと定められています。
もし地主の承諾を得ずに借地権を無断で譲渡してしまうと、重大な契約違反に該当し、地主から借地契約を解除される可能性があります。
そうなれば、買主や譲受人との間で大きなトラブルに発展してしまいます。
そのため、借地権の譲渡を行う際は、必ず事前に地主の承諾を得る必要があります。
借地権の「譲渡」と判断されるかどうかはケースにより異なる
借地権の「譲渡」と判断され、地主の承諾が必要になるかどうかは、ケースにより異なります。
ここでは代表的な、以下の8つのケースについて解説します。
- 建物を第三者に賃貸している(転貸)
- 相続
- 遺贈・死因贈与
- 離婚に伴う財産分与
- 法人の経営者の交替
- 法人の合併
- 賃借権の共有持分の移転
- 借地権付き建物に譲渡担保権が設定されている
ケース①:建物を第三者に賃貸している(転貸)
借地上の建物を第三者に貸す行為は「転貸(てんたい)」にあたり、借地権そのものを移転する「譲渡」とは異なります。
しかし、土地の又貸し(転貸借)とみなされるため、原則として地主の承諾が必要です。
無断で行うと契約解除の理由になり得ます。
ケース②:相続
借地人が亡くなり、相続人が借地権を引き継ぐ場合は「包括承継」にあたるため、地主の承諾は不要です。
これは「譲渡」には該当しません。
ただし、地主との良好な関係を維持するためにも、相続が発生した旨を速やかに通知しておくことが望ましいでしょう。
ケース③:遺贈・死因贈与
遺言によって特定の人物に借地権が移る「特定遺贈」や、死亡によって効力が発生する「死因贈与」は、相続とは異なり「譲渡」とみなされるため、地主の承諾が必要です。
一方で、遺産の全てまたは一定割合を遺贈する「包括遺贈」の場合は、相続と同様に承諾は不要とされています。
ケース④:離婚に伴う財産分与
離婚時の財産分与によって、夫婦の一方から他方へ借地権が移る場合も「譲渡」にあたり、地主の承諾が必要となります。
ケース⑤:法人の経営者の交替
借地人が法人の場合、その会社の代表者や役員、株主が変わっても、法人格自体は同一であるため「譲渡」にはあたりません。
したがって、地主の承諾は不要です。
ケース⑥:法人の合併
法人の合併により借地権が他の法人へ移転する場合、これは「包括承継」とみなされるため、相続と同様に地主の承諾は不要です。
ケース⑦:賃借権の共有持分の移転
借地権を複数人で共有している場合、その共有持分の一部を第三者に移転することも「譲渡」にあたり、地主の承諾が必要となります。
ケース⑧:借地権付き建物に譲渡担保権が設定されている
借地権付き建物を担保に融資を受ける「譲渡担保」を設定する時点では、地主の承諾は不要です。
しかし、返済が滞り、担保権が実行されて建物の所有権が債権者に移転する際には、「譲渡」として地主の承諾が必要になります。

借地権を譲渡する流れ
借地権を譲渡する流れと手順は、以下の通りです。
- 不動産査定をする
- 借地権専門の業者に相談する
- 地主への交渉をおこなう
- 売買契約の締結
- 借地権譲渡承諾書の取り交わしと承諾料の支払い
- 所有権移転登記
step1.不動産査定をする
はじめに、借地権付き建物の売却査定を不動産会社に依頼します。
借地権の査定額は不動産会社によって異なる場合があるため、適正な市場価格を把握するうえでも、複数社に依頼することをおすすめします。
とはいえ、査定価格が最も高ければ良いというわけではありません。
もちろん価格が高ければ得られる利益も大きくなりますが、相場からかけ離れた高値では、買い手がなかなか見つからないという事態になりかねません。
さらに、不動産の取引では、売り出し価格に対して買主から価格交渉(指値交渉)が入るのが一般的です。
まずは、あくまでも客観的な相場価格を把握することを目的に査定を依頼しましょう。
step2.借地権専門の業者に相談する
借地権は権利関係や法律が複雑なため、取り扱い経験の少ない不動産会社も少なくありません。
そのため、借地権の取引に精通した専門の不動産会社を選ぶことが、成功の鍵となります。
後々、最も重要となる地主との交渉は、借地人だけでなく不動産会社にもサポートしてもらいながら進めるため、豊富な経験や交渉のノウハウが求められるのです。
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step3.地主への交渉をおこなう
借地権専門の業者と共に、地主への交渉を行います。
当事者だけで地主と交渉しようとすると、感情的になったり、そもそも譲渡に承諾してもらえなかったりするなど、かえって関係が悪化し、今後のやり取りに支障をきたす可能性も高まります。
しかし、経験豊富な借地権の専門業者に依頼すれば、双方にとって公平な第三者の立場で仲介してくれるため、交渉が円滑に進む可能性が高まります。
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step4.売買契約の締結
買主が決まった後は、売主として買主と売買契約を締結します。
この売買契約の時点では、まだ売買代金の全額を受け取ることはできず、後日の決済時に残代金を受け取るのが一般的ですので注意してください。
また、売買契約時には不動産会社に支払う仲介手数料と、契約書に貼付する収入印紙を用意する必要があります。
仲介手数料は、売買代金が400万円を超える場合、
(売買代金 × 3% + 6万円) + 消費税 |
で計算されます。
仲介手数料は法律上の上限額であり、売主と買主でどのように負担するかは交渉によりますが、事前に不動産会社へ確認しておきましょう。
また、契約書に貼付する収入印紙の金額は、売買代金によって以下の表の通り決まっています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 (平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されるもの) |
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
収入印紙は、不動産会社が立て替えてくれるケースと自身で用意するケースがあります。\
二重に購入してしまうことのないよう、事前に不動産会社と打ち合わせておくことをおすすめします。
step5.借地権譲渡承諾書の取り交わしと承諾料の支払い
地主と借地権譲渡承諾書を取り交わします。
譲渡承諾書は、その名の通り地主が借地権の譲渡に承諾したことを証明する重要な書類です。
買主からすれば、地主から正式に譲渡の承諾を得ているかどうかが最も重要なため、この借地権譲渡承諾書を提示する必要があります。
書類は不動産会社が作成してくれるのが一般的なので、借地人は署名・捺印の準備をしておきましょう。
一般的には売買契約後に地主の承諾を得るケースが多いですが、事前に承諾を得ていても問題ありません。
なお、承諾する見返りとして、地主から譲渡承諾料(名義変更料とも呼ばれます)を請求されることが一般的です。
譲渡承諾料の相場は、借地権価格(更地価格の6〜7割程度)の10%前後とされています。
いつまでに、誰が支払うのかを明確に確認しておきましょう。
step6.所有権移転登記
売買代金の決済が完了した後、所有権移転登記の手続きを司法書士に依頼して行います。
司法書士は不動産会社が紹介してくれるため、ご自身で手配する必要はほとんどありません。
また、所有権移転登記の費用は、一般的に買主が負担します。
売主としては、司法書士の指示に従い、実印や印鑑証明書などの必要書類を準備しましょう。
所有権移転登記が完了すれば、譲渡の一連の手続きは終了となります。

借地権の譲渡を地主が承諾しない場合、「借地非訟」を検討する
借地権を譲渡する流れについて紹介しましたが、そもそも地主が承諾しないケースも考えられます。
地主としては「新たな借地人と契約するのは面倒」と捉える人も多いためです。
そのような場合、「借地非訟(しゃくちひしょう)」によって解決できる可能性があります。
借地非訟とは
借地非訟とは、地主が借地権の譲渡や建て替えなどを承諾しない場合に、借地人の申立てによって、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与える法的な手続きのことです。
借地借家法に基づいた正当な権利であり、借地人を保護するための制度です。
これにより、地主の不合理な反対によって借地人が身動きが取れなくなる事態を防ぐことができます。
借地非訟が可能となる条件
借地非訟が可能となる条件は、主に以下の通りです。
- 譲渡(引き渡し)を無断で行う前であること
- 譲渡の相手が決まっていること
- 借地上に有効な建物が存在すること
借地非訟が可能となる条件①:譲渡(引き渡し)を無断で行う前であること
借地非訟を申し立てるには、地主の承諾を得ずに譲渡を完了させてしまう前であることが絶対条件です。
ここでの譲渡完了とは、建物の引き渡しや所有権移転登記を指します。
例えば、地主に無断で売買契約を締結し、所有権移転登記まで完了させた後には、借地非訟を申し立てることはできません。
借地非訟が可能となる条件②:譲渡の相手が決まっていること
借地非訟は、既に譲渡先(買主)が決まっていることが条件です。
譲渡先が誰か分からない状態では、地主にとって地代の支払いが滞るなどの不利益が生じる可能性があるためです。
そのため、先に裁判所から承諾の許可を得てから買主を探す、ということはできません。
借地非訟が可能となる条件③:借地上に有効な建物が存在すること
借地上に建物が存在しなければ、借地非訟はできません。
借地権だけの売買について、裁判所に承諾を申し立てても許可されることはありません。
また、建物の建て替えをしようと地主の承諾を得て解体したものの、その後、融資が下りずに譲渡せざるを得ない状況になったとしても、建物がない以上、100%借地非訟ができるとは限りません。
あくまで借地上に社会通念上、建物として利用できるものが存在することが条件であるため、建て替えなどをする際は計画的に進める必要があります。
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借地非訟の流れ
借地訴訟の手続は、以下の流れで行います。
- 申立て
- 事件の審理
- 事件の終了
step1.申立て
申立ては、借地権のある土地を管轄する地方裁判所にて行います。
裁判所のホームページから申立書をダウンロードし、必要事項を記載します。
記載内容は専門的で複雑なうえ、代理人になれるのは弁護士のみと定められているため、弁護士に相談しながら申立てを行うことを強くおすすめします。
申立書を裁判所に提出した後、書記官が提出書類を点検し、問題がなければ受付票が交付されます。
なお、申立書の他に必要な書類は以下の通りです。
- 土地および建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 土地および建物の固定資産評価証明書(原本)
- 対象不動産の住宅地図
- 賃貸借契約書の写し
- 委任状(弁護士に委任する場合)
また、申立をするには手数料を収入印紙で納付しなければいけません。
手数料は借地非訟の申立て内容に異なり、借地権の譲渡の場合は「増改築許可申立事件以外の申立手数料」に該当し、以下の計算式で算出します。
借地の範囲が当該土地全部のとき | 固定資産評価額÷2 |
借地の範囲が当該土地のうちの一部のとき | 固定資産評価額×借地が占める割合÷2 |
目的物の価格 (算定の基礎となる額) | 申立手数料の目安額 |
500万円 | 12,000円 |
1,000万円 | 20,000円 |
1,500万円 | 26,000円 |
2,000万円 | 32,000円 |
2,500万円 | 38,000円 |
3,000万円 | 44,000円 |
3,500万円 | 50,000円 |
4,000万円 | 56,000円 |
4,500万円 | 62,000円 |
5,000万円 | 68,000円 |
5,500万円 | 74,000円 |
6,000万円 | 80,000円 |
6,500万円 | 86,000円 |
7,000万円 | 92,000円 |
7,500万円 | 98,000円 |
8,000万円 | 104,000円 |
8,500万円 | 110,000円 |
9,000万円 | 116,000円 |
9,500万円 | 122,000円 |
1億円 | 128,000円 |
引用元 第3 費用 | 裁判所 (courts.go.jp)
ただし、上記の手数料はあくまで目安であり、裁判所によって算定基準が異なることがあるため、正確な申立手数料については管轄の裁判所に確認しましょう。
また、申立手数料とは別に、裁判所からの書類送付費用として、郵便切手(予納郵券)を納める必要があります。
step2.事件の審理
申立てが完了した後、おおむね1か月から1か月半後に第1回審問期日が指定され、裁判官が当事者双方から直接話を聴く手続きが始まります。
地主側も、申立てに対する意見を記した答弁書を提出することになります。
当日は、当事者がそれぞれの意見を裁判官に伝え、必要に応じて証拠書類を提出して説明します。
当事者の主張・立証が出揃った後、裁判官が様々な事情を考慮して決定を下します。
しかし、第1回の審問で内容がまとまらなければ、第2回、第3回と期日を重ねていくことになります。
審理の途中で和解が成立し、申立てを取り下げるケースも少なくありません。
step3.事件の終了
事件の審理を経て、裁判所が譲渡を認める「許可決定」を出した場合、借地人は借地権を譲渡することが可能になります。
一方で、申立て中に地主との間で和解が成立した場合は、申立て自体を取り下げて終了となります。
許可決定に対して不服がある場合、地主は告知を受けた日から2週間以内に「即時抗告」という不服申立てを高等裁判所に行うことが可能です。
裁判所の判断基準
裁判所は、借地権を第三者に譲渡しても、地主に著しい不利益となる恐れがないと判断した場合、譲渡承諾料の支払いを条件として許可決定を下すことが一般的です。
一方で、借地権の契約期間の残りがわずかである場合や、建物が著しく老朽化して居住できる状態でない場合などは、地主にとって不利益になる可能性が高いため、認められないことがあります。
裁判所の判断基準は法律で明確に定められているわけではありませんが、一貫して「地主にとって不利益になるかどうか」が重要なポイントになります。
また、裁判所が定める承諾料は、一般的に借地権価格(更地の6〜7割)の10%程度が相場とされていますが、指定された期限までに支払えない場合は、許可決定の効力が失われるため注意が必要です。
借地非訟にかかる期間
地主からの即時抗告がなければ、裁判所の決定は告知から2週間で確定します。
地主も裁判所の決定に納得している場合は、借地人が定められた承諾料を支払うことで、法的に借地権の譲渡が承認されたことになります。

当社なら地主の譲渡承諾なしで売却可能!
借地権の譲渡は、原則として地主の承諾が必要不可欠です。
地主の承諾なく譲渡してしまうと、借地契約違反となり、最悪の場合、契約を解除される可能性があります。
とはいえ、ご自身だけで地主への承諾交渉を行うと、感情的な対立からトラブルに発展し、かえって交渉が難航するケースも少なくありません。
そのため、まずは借地権に強い専門家に相談し、正しい知識と手順で交渉に臨むことをおすすめします。
万が一、地主への承諾が得られない場合、裁判所に借地非訟を行うことになります。
借地非訟は専門的な知識が求められるため、弁護士に委任して進めるのが一般的ですが、申立てが可能かどうか、事前に不動産の専門家などに相談しておくとスムーズです。
当社センチュリー21中央プロパティーは、借地権専門の不動産仲介会社として、延べ4万件以上のトラブル解決・売却実績がございます。
経験豊富な借地権の専門家のみが在籍しており、地主に譲渡承諾が得られない場合でも、地主との交渉代行や、借地非訟手続もスムーズに行うことが可能です。
さらに、借地権専門の社内弁護士が常駐しているため、常に法的な問題をクリアしながらお手続きを進めてまいります。
また、センチュリー21グループが誇る”買い手ネットワーク”を活用し、可能な限り好条件で購入してくれる買い手をお探しできる点も、当社の強みとなっております。
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借地権の譲渡に関してよくあるご質問
借地権の譲渡に関してよくあるご質問と、その回答をいくつかご紹介します。
Q1.譲渡承諾の条件として、「一戸建てを建てる者にしか譲渡は認めない」などの制限を付けることは認められますか?
A.結論として、地主が一方的にそのような譲渡の条件を付けることは、原則として認められません。
借地人は、法令の制限内で土地を自由に利用する権利を持っています。
もちろん、地主の意向を無視して良いわけではありませんが、法的にそのような条件を受け入れる義務はありません。
どうしても話がまとまらない場合は、公平な第三者である借地権の専門家を間に入れて、粘り強く交渉していくことが重要です。
Q2.譲渡承諾料の相場はいくらですか?支払いを拒否できますか?
A.譲渡承諾料の明確な法的基準はありませんが、実務上の相場は「借地権価格の10%程度」とされています。
借地権価格は、更地価格のおおむね60%~70%で評価されるのが一般的です。
これはあくまで慣習であり、当事者間の合意によって決まるため、交渉の余地はあります。
ただし、承諾料の支払いを完全に拒否することは、交渉を著しく困難にするため現実的ではありません。
地主が譲渡を承諾するという、本来であれば不要な手続きに応じることへの対価という側面があるため、ある程度の支払いは必要と考えるのが妥当です。
Q3.借地権の「譲渡」と「転貸」の違いは何ですか?
A.「譲渡」と「転貸」はどちらも地主の承諾が必要ですが、権利の内容が異なります。
「譲渡」は、借地権そのものを第三者に売り渡したり、贈与したりして、借地人としての地位を完全に移転させることです。
一方、「転貸」は、借地人としての地位は維持したまま、借地上の建物を第三者に貸し出す行為(又貸し)を指します。
どちらも無断で行うと契約解除の重大な理由となるため、必ず事前に地主の承諾を得るようにしてください。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。