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借地上のマンションの入居率を巡って地主と裁判中です|弁護士Q&A

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:1365

借地上のマンションの入居率を巡って地主と裁判中です

ご相談内容

現在、底地権者(地主)と裁判中です。
経緯をお伝えしますと、底地権者(地主)の土地を収益物件として利用する提案を業者がし、マンションを建て、借地権を設定しておりました。
その後、マンションの入居率も悪くなり、話が違う!と契約解除を申し入れられました。
しかし、契約期間内であり、それは認められないと伝えたところ、裁判を提起されてしまいました。

裁判が進む中で、裁判所から和解案として、底地権の買取を提案されております。裁判外で和解をする方が得という弁護士もいます。

どのようにすべきなのでしょうか。

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ご相談のポイント

  • 裁判所の和解案をどうみるか
  • 訴外の和解と裁判上の和解

◆裁判所の和解案をどうみるか

今回の裁判の中心となる争点は、マンションの入居率の悪化が借地契約上の債務不履行事由に該当するか、ということになります。

もっとも、ご相談の内容だけでは借地契約書の具体的な取り決めがわかりませんので、判決まで進んだ場合の勝訴・敗訴の見通しを、この場で軽々に述べることはできません。

但し、今回の裁判所の和解案は、裁判所の心証が勝訴・敗訴いずれであるかにかかわらず、借地人の立場からは検討に値します。

まず、裁判所の心証が借地人敗訴の場合は、判決まで進めば、借地人は、自らの費用負担でマンションを解体収去しなければならなくなります。

さらに、入所者の立ち退き交渉及び立退料・営業補償の支払いも、建物の賃貸人である借地人の負担になります。

これに対し、和解案では、底地の買取代金の負担は大きいものの、土地建物を100%所有権化できるというメリットも得られます。

他方、裁判所の心証が借地人勝訴であって、借地人勝訴の判決を得られたとしても、借地人は、地主との関係が険悪な状態のまま、借地契約を続けることになります。

そうなると、将来的に、更新料や地代の増額、譲渡承諾・増改築承諾等の問題で、再び地主と揉めることが濃厚です。

そんな事態を避けたいということであれば、底地を買い取って100%所有権化し、地主との契約を終わらせることには意味があります。

◆訴外の和解と裁判上の和解

訴外の和解と裁判上の和解の大きな違いは、裁判上の和解には、確定判決と同一の効力があることです。

確定判決と同一の効力の具体的な内容としては、(1)執行力、(2)一事不再理効があります。

  • (1)については、「AはBに~円支払え」という裁判上の和解をしたが、Aが支払いを不履行した場合には、Bは、和解調書を債務名義として、Aの財産に対する強制執行が可能となります。

この面では、訴外で和解した方が、万が一借地人による買取代金の支払いが不履行になっても、直ちには借地人の財産に強制執行をかけられないという意味で、借地人に有利です。

  • (2)については、裁判上の和解で和解した内容に関しては、和解当事者は、和解成立後に改めて裁判で争うことができななくなります。

この面では、裁判上で和解した方が、地主による問題の蒸し返しを防げるという意味で、借地人に有利です。

まとめ

地主から契約解除を主張されて裁判を起こされた場合、仮にその裁判で借地人が勝てたとしても、地主との関係が険悪なまま借地契約を続けることになり、将来的に再び地主との紛争が生じるリスクが高いです。

そのリスクを根本的に避けるためには、地主から底地を買い取り100%所有権化することも選択肢になります。

裁判上の和解には確定判決と同一の効力があり、執行力や一事不再理効が認められます。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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