借地権を相続するメリットはある?放棄との比較や判断基準を解説
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借地権を相続するメリットはある?放棄との比較や判断基準を解説

借地権を相続するメリットはある?放棄との比較や判断基準を解説

目次

「借地権付きの実家を相続することになったが、このまま引き継いで良いのだろうか」と悩んでいませんか?

借地権は立地次第では大きな資産価値を持つこともありますが、地代の支払いや地主とのやり取りから、安易な相続はトラブルの元になりかねません。

本記事では、借地権を相続するメリット・デメリットを整理し、放棄の判断基準や手続きの流れを解説します。

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借地権を相続する3つのメリット

借地権には、所有権の土地にはない3つのメリットがあります。

  1. 土地の固定資産税・都市計画税がかからない
  2. 土地の評価額が低く相続税を抑えられる可能性がある
  3. 好立地な物件を比較的安価に居住・活用できる

メリット①:土地の固定資産税・都市計画税がかからない

借地を相続した借地人が保有するのは、「地主から土地を借りる権利」と、その上の「建物」のみです。

土地の所有者は地主であるため、土地の固定資産税や都市計画税は地主が支払います。

借地権者の負担は「建物の税金だけ」で済むため、毎年のランニングコストを抑えられるのは大きなメリットです。

メリット②土地の評価額が低く相続税を抑えられる可能性がある

相続税の計算上、借地権の相続税の基準となる「評価額」の多くは、更地価格(土地の上に建物などが建っていない状態の純粋な土地の価格)の60%〜70%程度となることが一般的です。

同じ広さの土地でも、所有権として相続する場合に比べて評価額が下がるため、結果として相続税の負担を軽減できる可能性があります。

特に、相続税の負担が大きくなることが多い都市部の場合や何代にも渡って住み続ける場合など、代替わりごとの相続税を軽減できるのは借地権ならではの魅力です。

メリット③好立地な物件を比較的安価に居住・活用できる

古くからの借地権は、駅近などの好立地であることが一般的です。

同じ土地を新しく購入した場合よりも安く維持できることも多いため、利便性の高い居住地に住みたい方には有力な選択肢となりえます。

また、賃貸物件として収益を得るなど、居住用以外の活用方法も可能です。

借地権の相続時にはデメリットにも注意

メリットの一方で、借地権特有の制約や負担として次の3点に注意しましょう。

  1. 毎月の地代や更新時の更新料が発生する
  2. 建て替え・売却・リフォームに地主の承諾が必要
  3. 担保価値が低く住宅ローンが利用しにくい

デメリット①毎月の地代や更新時の更新料が発生する

借地権は、土地の税金がかからない代わりに、土地の使用料として毎月(あるいは毎年)の地代の支払いが必須になります。

もちろん場所や広さによって価格はまちまちですが、毎月の地代が10万円を超えるケースも決して珍しくありません。

また、契約によっては10年~20年に一度の更新時に更新料を要求されることもあります。こちらは契約時の更地価格の3%程度が相場となっており、百万円単位のまとまったお金が必要になることが一般的です。

これらの支払いが滞ると、最悪の場合は契約解除や立ち退きを求められる恐れがあるため注意しましょう。

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デメリット②建て替え・リフォーム・売却などに地主の承諾が必要

借地上の建物の建て替えやリフォーム、あるいは借地権そのものを売却するといった大規模な変更・処分の際は、原則として地主の承諾と承諾料の支払いが必要です。

こうした要望を巡る地主との交渉はトラブルになりやすく、それが原因となって引き続き住み続けることが難しくなるようなケースも数多く見られます。

特に借地権の相続時には、古い建物の建て替えや間取りの変更、また空き家になる場合は売却を検討することも多いため、借地権専門の不動産会社などに相談しながら進めることが重要です。

※当社センチュリー21中央プロパティーは、借地権トラブルに強い社内弁護士が常駐しており、地主との交渉を全て代行いたします

デメリット③担保価値が低く住宅ローンが利用しにくい

借地権付き建物は、通常の所有権の建物に比べて担保評価が低くなります。

そのため、建て替えやリフォームの際に地主の承諾が取れたとしても、金融機関がローンを組んでくれないことも多いのです。

その場合の建て替え・リフォームの費用などは一括で用意せざるを得なくなり、先述の承諾料と合わせて多額の資金が必要になります。

こうした資金が用意できない場合、古い家・狭くなってきた家にそのまま住み続けることになるでしょう。

デメリット④地主との人間関係やトラブル

お金や仕組み上のデメリットとは別に、地主との関係に気を遣うという心理的なデメリットも存在します。

先述の通り、建物の増改築・建て替えなど、さまざまな場面で地主の承諾を得なければならないため、関係性には気を遣わざるを得ません。

また、地代の支払いや日頃の挨拶まで、借地に住む以上は地主との日常的なコミュニケーションは避けられず、気疲れしてしまう場面は予想以上に多いものです。

相続後に地主との関係性が悪化してしまうと、心穏やかに借地に住み続けることは難しいかもしれません。

借地権を相続するべき3つのケース

借地権のメリット・デメリットを理解した上で、借地権を相続したほうが良い3つのケースを見ていきましょう。

  1. 高額で売却できる可能性がある
  2. 借地権の他に預貯金などの財産がある
  3. 相続後に自分で住む・活用するなどの予定がある

なお、法的な「相続放棄」を選択すると、借地権以外の預貯金や他の不動産など、プラスの財産もすべて放棄することになります。

ケース①高額で売却できる可能性がある

後述しますが、相続した借地権は「売却」することが可能です。

デメリットで触れた通り、地代や管理の手間はかかりますが、それを上回る金額で売却できるのであれば相続して現金化することをおすすめします。

売却金額に最も大きく影響するのは、立地の良さです。

  • 駅近や人気エリアである
    高値での売却が期待できるため相続推奨
  • 立地が悪く買い手がつかない
    売却金額よりも地代等の出費が上回る可能性が高いため、放棄または地主への返還を検討(返還の場合は建物の解体費は借地人負担)

まずは借地権専門の不動産会社に査定を依頼し、市場価値を確認してから判断することをおすすめします。

センチュリー21中央プロパティーでは、幅広いネットワークとオークション形式を駆使し、富裕層投資家や不動産投資法人へアプローチすることで、最高値での売却を実現します。

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ケース②借地権の他に預貯金などの財産がある

借地権が必要ないからといって、法的な「相続放棄」を選択すると、借地権以外の預貯金や他の不動産など、プラスの財産もすべて放棄することになります。

そのため、財産として借地権以外にまとまった預貯金がある場合には、借地権も含めて一旦全て相続し、その後に手放したほうが良いでしょう。

逆に、借地権以外に多額の借金などマイナスの財産が多い場合は、相続放棄を選択するのも有効な手段になり得ます。

このように、借地権以外にどのような相続財産があるのかをに応じて決めることも重要です。

▼借地権の相続と相続放棄の比較

項目借地権を相続して活用・売却相続放棄
概要名義変更を行い、自分の財産として活用する家庭裁判所で手続きし、全ての借地権を含む全ての財産の相続を放棄する
メリット・売却益を得られる可能性がある
・安く住居を確保できる
・借金や面倒な地主関係から完全に解放される
デメリット・地代等のコストがかかる
・地主とのやり取りが必要
・預貯金など他のプラス財産も失う
期限・特になし(相続税申告は10ヶ月以内)・相続を知ってから3ヶ月以内
こんな人におすすめ・立地が良い物件の場合
・住む予定がある場合
・マイナスの財産が多い場合
・他の財産も不要な場合

ケース③相続後に自分で住む・活用するなどの予定がある

ご自身や親族がその家に住む予定があるなら、相続一択です。

借地権は、新たに土地を購入するよりも安いコストで居住権を確保できるため、住むことが目的であれば非常に優秀な資産といえます。

借地権相続の流れを5ステップでご紹介

借地権の相続は、次の5つのステップに沿って手続きを進めます。

  1. 遺言書の有無を確認し、相続人を確定する
  2. 遺産分割協議を行う
  3. 地主に借地権を相続した旨を連絡する
  4. 法務局にて建物の名義変更(相続登記)を行う
  5. 相続税を申告・納税を行う

Step1.遺言書の有無を確認する

まずは、被相続人(財産を遺す人)の遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書の種類によっては、自宅だけでなく法務局や公証役場に保管されている可能性もあるため、被相続人が亡くなったら確認を急ぎましょう。 

遺言書があれば、原則としてその内容に従って相続を進めます。

Step2. 遺産分割協議を行う

遺言書がない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行います。

遺産分割協議とは、「相続人それぞれがどの財産をどの程度の割合で相続するかを決める話し合い」のことです。

協議成立後は、名義変更手続きに必要な「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名・捺印を行います。

Step3. 地主に相続した旨を連絡する

相続人が決まったら、地主へ連絡を入れましょう。

相続に地主の承諾や承諾料は不要ですが、報告を怠ると「勝手に借地人が変わった」などと思われ、心証を損ねる恐れがあります。

今後の良好な関係維持のためにも、一報を入れておくことは非常に大切です。

Step4. 法務局で建物の名義変更(相続登記)を行う

借地上の建物を自分の名義とするために、法務局で「相続登記」を行います。

2024年4月より相続登記は義務化されており、理由なく怠ると10万円以下の過料を課される可能性もあるため注意しましょう。

必要書類が多く手続きも難しいため、司法書士への依頼を推奨します。

Step5. 相続税の申告・納税を行う

借地権は相続税の課税対象です。

遺産総額が基礎控除額を超える場合、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に申告・納税が必要です。

こちらも計算が難しい手続きになるため、不備がないよう税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続した借地権の売却方法2選

借地権は一般的な所有権の建物や土地とは異なるため、売却方法は次の2つに絞られます。

  1. 地主に買い取ってもらう
  2. 第三者に売却する

売却方法①地主に買い取ってもらう

1つ目は、地主に借地権を買い取って貰う方法です。

地主自身が買い手になるので、後述の第三者(不動産会社など)への売却に必要な承諾や、それに伴う承諾料の支払いは必要ありません。

ただし、書類の準備や地主との交渉などは専門的な知識が必要な場面も多いため、なるべく初めの段階から不動産業者などの専門家に窓口(仲介)を依頼しましょう。

売却価格に関しては、更地価格の50%程度が一般的です。

なお、この方法は実質的に土地を地主に返還する形になるため、売買契約書ではなく「土地変換に関する合意書」を締結するケースもあります。

売却方法②第三者に売却する

2つ目は、買取業者に借地権を買い取ってもらう、あるいは専門の仲介業者に借地権の買主となる第三者を仲介してもらうという方法です。

第三者への売却となるため、地主の承諾と承諾料の支払いが必要になります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

売却方法メリットデメリット売却金額の相場
買取業者への売却借地権をスピーディーに現金化できる。市場価格に比べて売却金額は大幅に下がる。更地価格の50%以下
仲介業者を通じた第三者への売却借地権を高額・好条件で売却できる。契約完了までに2~4週間程度の時間が必要になる。更地価格の60%~70%程度

上記を参照し、なるべく早く借地権を現金化したい方は買取業者、高額かつ好条件で借地権を売却したい方は専門仲介業者と、目的に応じた売却方法を選びましょう。

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まとめ

借地権の相続は、土地の分の固定資産税や都市計画税が不要になるなどのメリットがある反面、地代の支払いや地主との関係維持といったリスクも伴います。

そうしたメリット・デメリットを天秤にかけ、相続した借地権を活用するか、あるいは売却などによって手放すかを判断しましょう。

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相続した借地権の売却をご検討の際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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借地権の相続とメリットに関するよくある質問

Q1. 借地権を相続する際、地主に承諾料を払う必要はありますか?

 ただし、遺言による「遺贈(相続人以外への譲渡)」の場合や、契約書に特約がある場合は必要になることもあるため、専門家への確認をおすすめします。

Q2. 建物が古すぎて住めない場合でも、相続するメリットはありますか?

都市部などの好立地なら、古家付きや更地渡しで利益が出るケースも数多く存在するため、建物を解体する前に現状のまま査定を受けることをおすすめします。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21 中央プロパティー 代表取締役/宅地建物取引士
都内金融機関、不動産会社での経験を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを設立。長年にわたり不動産業界の最前線で活躍するプロフェッショナル。

借地権の売買に精通しており、これまでに1,000件以上の借地権取引や関連する不動産トラブル解決をサポート。底地や借地権付き建物の売却、名義変更料や更新料の交渉など、複雑な借地権問題に従事。

著書に「地主と借地人のための借地権トラブル入門書」など多数の書籍を出版。メディア出演やセミナー登壇実績も豊富で、難解な相続不動産問題も「わかりやすい」と説明力に定評がある。

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