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遺産分割では、親との同居は評価されない|弁護士Q&A

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作成日:
コンテンツ番号:743

遺産分割では、親との同居は評価されない

質問 父が亡くなり、遺産分割協議をしています。
私Aの父は多くの土地を貸し、地代収入を得ていました。
父には亡くなる直前に結婚した後妻Bと子供Cがいます。
私は、父と同居していたことから、BCは「家賃も支払わず、特別な利益を得ているのだから、相続財産から引かれるべきだ」と主張しています。
やはり特別受益に当たり、相続財産が減ってしまうのでしょうか。

子Aの父後妻Bと子供Cがいます。子Aは、父と同居していた為後妻Bが「家賃も支払わず、特別な利益を得ているのだから、特別受益なので相続財産から引かれるべきだ」と主張している図

特別受益とは

(特別受益者の相続分)
民法903条:「共同相続人中に、被相続人から、①遺贈を受け、又は②婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」

とあります。被相続人から、生前金銭をもらっていたような場合は、相続財産を前倒しでもらっていたのと同視ができるため、その分を相続財産から控除することで、他の共同相続人との平等をはかるための特別受益の制度があります。

要件

特別受益となり得る例としては、遺贈がある場合、生前贈与がある場合、婚姻や養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与、不動産の贈与、金銭や動産の贈与、学資等の援助、生活費の援助、祝い金、土地の無償使用、建物の無償使用、生命保険金、死亡退職金、遺族給付等が挙げられます。

相続分の整理

ここで、本件における相続分の整理をしておきましょう。

(配偶者の相続権)

民法890条:「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」

(法定相続分)

民法900条:「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする…」

後妻といえども、配偶者に当たるため、2分の1の相続分を有します。AとCはその2分の1を二人で分けることになるので、各4分の1ずつになります。つまり、原則として、Bが2分の1、ACが4分の1ずつ父の相続財産を分けることになります。

B(後妻)相続分1/2、C子相続分1/4、A子相続分1/4を表した図

特別受益に当たるか

同居しており、家賃の支払いをせずにいられたことが特別受益に当たるかというと、当たらないとされることが多いようです。

後妻が同居は特別受益でしょ!?と主張している図

むしろ、Aが同居をし、看病をしていたような場合は寄与があったとして、他の2人よりも多くの相続財産をもらえる可能性があります。

(寄与分)
民法904条の2:「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。」

とあります。療養介護をし、被相続人のために支出がある場合には、寄与をしたとして他の相続人よりも多くの財産をもらうことができます。

この記事の監修者

菅原 悠互スガワラ ユウゴ

弁護士

弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。

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