相続した借地権を売却する方法とは?地主への承諾料や注意点を解説
目次
親族が亡くなり、実家などの「借地権」を相続したものの、住む予定がなく売却を検討される方は少なくありません。
しかし、借地権の売却は一般的な所有権の不動産とは異なり、地主との交渉や承諾料といった特有の手続きが必要です。
正しい手順を踏まなければ、思わぬトラブルや売却の失敗を招くリスクもあります。
この記事では、相続した借地権をスムーズかつ高値で売却するための必須知識と、具体的な方法について解説します。
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【基本】借地権の相続で必ず押さえておきたい3つのポイント
借地権の相続で必ず押さえておきたいポイントは、以下の3点です。
- 借地権の相続手続きに「地主の承諾」は不要
- 相続が発生したらまずは名義変更と地主への連絡を
- 借地権は財産として「相続税」の課税対象になる
これらを知らずに進めると、地主との関係悪化や税務上の不利益を招く恐れがあるため注意しましょう。
ポイント①:借地権の相続手続きに「地主の承諾」は不要
借地権を「売却」や「贈与」するには地主の承諾が必要ですが、「相続」に関しては承諾不要です。
借地権は財産権として当然に承継されるため、地主へ名義書換料(承諾料)を支払う義務も原則として発生しません。
もし地主から「名義を変えるなら承諾料を払え」と請求されても、法的には支払う必要がないケースがほとんどです。
ただし、遺言による「遺贈」で法定相続人以外が取得する場合などは扱いが異なるため、専門家への確認をお勧めします。
ポイント②:相続が発生したらまずは名義変更と地主への連絡を
地主の承諾は不要ですが、借地人が変わったことを地主に知らせる義務はあります。
トラブル回避のため、相続発生時は速やかに地主へ連絡し、挨拶をしておくことが円満な関係維持につながります。
また、建物については法務局で相続登記(名義変更)を行いましょう。
借地権自体は未登記でも、建物が相続人名義になっていないと売却手続きが進められません。
ポイント③:借地権は財産として「相続税」の課税対象になる
借地権には財産価値があるため、相続税の課税対象です。
評価額は「自用地評価額(更地価格)×借地権割合」で算出され、地域によっては土地価格の60〜70%程度の価値とみなされます。
売却予定であっても、まずは申告期限内に適切な評価額で相続税申告を行う必要があります。
相続した借地権を売却するための5つの方法
相続した借地権を売却するための方法としては、主に以下の5つがあります。
- 第三者(個人・法人)に売却する
- 地主に借地権を買い取ってもらう
- 地主から底地を買い取り「所有権」にして売却する
- 地主と協力して借地権と底地を「同時売却」する
- 地主と「等価交換」を行って所有権化してから売却する
地主との関係性や資金状況に合わせて最適な方法を選びましょう。
方法①:第三者(個人・法人)に売却する
借地権付き建物として、一般の個人や不動産会社などの第三者に売却する方法です。
建物を解体せずにそのままの状態で、売却できるため高額な解体費用を捻出しなくてよいメリットがあります。
ただし、地主からの「譲渡承諾」と「譲渡承諾料の支払い」が必要です。
買い手がローンを利用しづらいケースもあり、現金購入できる層がターゲットになりやすい傾向があります。
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方法②:地主に借地権を買い取ってもらう
地主に借地権を買い取ってもらう交渉をする方法です。
地主は土地を「完全な所有権」に戻せるメリットがあり、借地人は第三者を探す手間や譲渡承諾料が不要になるメリットがあります。
ただし、地主に資金力や買取の意思がなければ成立しません。
また、「高く売りたい借地人」と「安く買い取りたい地主」の間で、売買価格の合意形成が難航しやすい傾向にあります。
方法③:地主と協力して借地権と底地を「同時売却」する
借地人と地主が協力し、借地権と底地をセットで第三者に共同で売却する方法です。
買主は完全な所有権を取得できるため、それぞれの単独売却よりも高い価格で取引される傾向があります。
地主も底地の処分を検討している場合に有効な選択肢です。
ただし、売却代金を地主(底地権者)と借地人でどのような割合で分けるかという「配分比率(借地権割合)」の話し合いがまとまらず、争点になることがあります。
トラブルを避けるため、売却活動を始める前にしっかりと取り決めをしておくことが重要です。
方法④:地主から底地を買い取り「所有権」にして売却する
地主から底地を買い取り、借地権と合わせて「所有権」として売却する方法です。
所有権化することで市場価値が大幅に上がり、買い手も見つかりやすくなるため、高値売却が期待できます。
底地の購入資金が必要ですが、売却代金で決済する「同時決済」が可能な場合もあります。
方法⑤:地主と「等価交換」を行って所有権化してから売却する
広い土地の場合、借地権と底地の一部を交換し、お互いに所有権の土地を持つ形にする方法です。
例えば、借地権の一部を地主に返し、残りの土地の底地をもらうイメージです。
金銭のやり取りなしで完全な所有権を取得でき、その土地を自由に売却できるようになります。
借地権の売却には地主の承諾と「承諾料」が必要
相続した借地権を第三者に売却する場合、地主への「承諾料」が避けて通れません。
支払わないと地主の承諾が得られないことが一般的です。
なぜ地主の承諾が必要なのか?承諾が得られない場合は?
借地権は地主との信頼関係の上に成り立つ契約であるため、民法上、借地権を第三者に譲渡(売却)するには地主の承諾が必要と定められています(民法第612条)。
無断で売却すると契約解除の事由となるため注意が必要です。
万が一、地主が理由なく承諾を拒否したり、法外な承諾料を要求したりして交渉がまとまらない場合は、裁判所に申し立てて地主の承諾に代わる許可を得る「借地非訟手続(しゃくちひしょうてつづき)」という救済措置を利用することも可能です。
第三者に売却する場合の「譲渡承諾料(名義書換料)」の相場
第三者への譲渡時に支払う承諾料(名義書換料)の相場は、借地権価格の10%程度が目安です。
例えば、借地権価格が3,000万円なら約300万円となります。
あくまで目安であり、地主との交渉次第で増減することがあります。
渡承諾料(名義書換料)は原則として「売主(借地人)」が支払う
承諾料は、原則として「売主(借地人)」が負担します。
売却代金から支払うのが一般的ですが、手持ち資金が少ない場合は計画的な資金繰りが必要です。
借地権売却には様々な費用がかかりますが、センチュリー21中央プロパティーなら、相談から売却まで、仲介手数料・弁護士費用・相続登記費用・残置物(空き家のゴミ)処分費用などがすべて無料。
買主側が諸費用を負担する仕組みにより、売主様の手取り額を最大化できます。
コストを抑えて手元に多くの現金を残したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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地主との交渉をスムーズに進めるためのコツ
感情的な対立を避け、地主との交渉をスムーズに進めるためのポイントは以下の通りです。
- トラブル防止のため不動産会社を介して協議する
- 譲渡承諾料や条件の取り決めは必ず「書面」に残す
- 地主の承諾が得られない場合は「借地非訟手続」という選択肢も
コツ①:トラブル防止のため不動産会社を介して協議する
当事者同士の交渉は、感情論や知識不足でこじれるリスクが高いです。
特に相続時は地主側も不安を感じやすいため、借地権に詳しい不動産会社を間に挟み、客観的な視点で話し合うことがトラブル防止になります。
特にセンチュリー21中央プロパティーには、借地権トラブルや売却に豊富な実績を持つ社内弁護士が常駐しており、いつでも法的な観点からの的確なアドバイスや、契約書等の重要書類のチェックが可能です。
借地権の売却に関する「地主との交渉」は全て専門家が代行するため、地主と揉めている場合や関係が悪化している場合でも、現状のままでトラブル解決・売却が可能です。
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コツ②:譲渡承諾料や条件の取り決めは必ず「書面」に残す
口約束は「言った・言わない」のトラブルの元です。
承諾料や契約条件については、必ず「承諾書」や「覚書」を作成し、署名・捺印を残しましょう。
これにより、後々のキャンセルや条件変更のリスクを回避できます。
コツ③:地主の承諾が得られない場合は「借地非訟手続」という選択肢も
地主が理不尽に承諾を拒否したり、法外な承諾料を請求したりして交渉が決裂した場合、「借地非訟手続き(しゃくちひしょうてつづき)」という裁判所の許可を得る制度があります。
時間と費用がかかるため最終手段ですが、法的に解決する道があることは知っておきましょう。
相続した借地権の売却で使える「空き家3000万円控除の特例」とは?
相続した実家が空き家の場合、要件を満たして売却すれば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
借地権付き建物であっても、要件を満たせばこの特例の対象となります。
特例を受けるための主な適用要件
「空き家3000万円控除の特例」を受けるための主な要件は、以下の通りです。
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること。
- マンション等(区分所有建物)ではないこと。
- 相続直前に被相続人が一人で居住していたこと。
- 相続から売却まで、事業や貸付、居住用に使われていないこと。
- 相続開始から3年経過する年の12月31日までに売却すること。
- 売却代金が1億円以下であること。
借地権売却で特例を利用する際の注意点
現況のまま売却する場合、建物が「新耐震基準」を満たしている必要があります。
旧耐震基準の場合は耐震リフォームをするか、解体して「更地(借地権)」として譲渡する方法があります。
ただし、更地にして地主に返還する場合などは適用外になることもあるため、必ず事前に税理士へ相談しましょう。
まとめ
相続した借地権の売却には、専門知識と交渉力が不可欠です。
地主の承諾は必須であり、手順を誤ると大きなトラブルになりかねません。
売却方法は複数あるため、状況に応じて最適な選択をすることが重要です。
センチュリー21中央プロパティーでは、借地権トラブルの相談・解決実績は4万件以上にのぼり、長年のノウハウを持つ専門スタッフがサポートします。
借地権に強い社内弁護士が常駐しており、法的なアドバイスや書類チェックも万全です。
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相続した借地権の扱いに少しでも不安がある方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
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相続した借地権の売却に関してよくある質問
相続した借地権の売却に関してよくある質問と、その回答をご紹介します。
Q1.借地権を相続放棄した場合、管理責任はどうなりますか?
A.次の管理者が決まるまでは管理責任が残ります。
相続人全員が放棄しても、相続財産清算人が選任されるまでは管理義務があります。
放置して損害を与えると責任を問われる可能性があります。
Q2.地主から「名義書換料」を請求されましたが支払う必要はありますか?
A.原則として支払う必要はありません。
相続は地主の承諾が不要なため、名義書換料の支払い義務もありません。
ただ、関係維持のために事務手数料程度を検討するケースはあります。
Q3.建物が古くても借地権は売却できますか?
A.はい、売却可能です。
「古家付き土地」として売却するか、解体して更地で売却する方法があります。
解体には地主の承諾が必要な場合があるため要確認です。
Q4.更新時期が近い借地権でも売却は可能ですか?
A.可能ですが、更新料の調整が必要です。
買主がすぐに更新料を支払うことになるため、その分を売買価格から引くか、売主が負担する等の交渉が一般的です。
Q5.相続登記が未了(名義変更していない)でも売却できますか?
A.売却活動は可能ですが、最終的な引き渡しまでに登記が必要です。
借地権付き建物の名義が被相続人(亡くなった方)のままでも、査定や買主を探す活動は始められます。
ただし、売買契約を結び、買主に引き渡す前までには、必ず相続登記(名義変更)を完了させておく必要があります。
登記手続きと売却活動を並行して進めるケースも多いため、まずはセンチュリー21中央プロパティーのような、借地権専門の不動産会社にご相談ください。
この記事の監修者
税理士
ワールド法律会計事務所 代表/税理士
ワールド法律会計事務所の代表を務める、借地権・不動産税務のスペシャリスト。東京税理士会日本橋支部所属(登録番号 117651)。
特に借地権の評価や譲渡に関する税金問題、地代・更新料の税務処理など、借地権にまつわる税務相談を得意分野としている。
生前贈与や親族間の不動産売買、相続対策など、多岐にわたる不動産税務全般にも豊富な経験と実績を持つ。税務の専門知識と実践的なアドバイスで、複雑な不動産税金問題を最適化し、お客様の賢い資産形成をサポートする。