借地権の相続に地主の承諾は必要?手続きやトラブル回避法を解説
目次
親御さんが亡くなり、実家である「借地権付き建物」を相続することになった際、真っ先に気になるのが地主さんへの対応ではないでしょうか。
「地主の承諾は必要なのか」「高額な名義変更料を請求されないか」といった不安を感じる方は少なくありません。
結論から言えば、原則として相続に地主の承諾は不要ですが、手順を誤るとトラブルに発展するリスクがあります。
本記事では、借地権を相続する際の正しい手続きや費用、よくあるトラブルへの対処法をわかりやすく解説します。
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借地権の相続に「地主の承諾」は原則不要
借地権は、現金や預貯金と同じ「相続財産」の一つです。
そのため、被相続人(亡くなった方)から相続人へ権利が移る際、地主の許可や承諾は原則として必要ありません。
地主が「承諾していないから契約解除だ」と主張しても、法的には認められませんのでご安心ください。
法定相続人の相続なら地主の承諾や名義書換料はかからない
配偶者や子供などの「法定相続人」が借地権を相続する場合、契約上の地位を当然に引き継ぐものとされます。
売買などの「譲渡」とは異なるため地主の承諾は不要であり、一般的に「名義書換料(承諾料)」を支払う義務も発生しません。
請求されても、支払う必要がないのが原則です。
遺言書により「法定相続人以外」が取得する場合は承諾が必要
注意が必要なのは、遺言書で法定相続人以外(孫や知人など)に借地権を遺贈する場合(特定遺贈)です。
これは法律上「第三者への譲渡」と同様に扱われるため、地主の承諾が必要です。
承諾が得られない場合は裁判所の許可(借地非訟手続き)が必要になることもあり、通常は借地権価格の10%程度を「名義書換承諾料」として地主に支払います。
地主への「相続の連絡」はマナーとして必須
承諾が不要であっても、地主への連絡は必ず行いましょう。
地代の振込名義人が変わるだけでなく、信頼関係を維持するためにも「誰が相続したのか」を伝えることは最低限のマナーです。
連絡を怠ると地主の心証を損ね、将来の更新時や売却時にトラブルの火種となります。
そもそも借地権とは?相続前に知っておきたい基礎知識
借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のことです。
相続手続きの前に、権利の種類を確認しておきましょう。
賃借権と地上権の違い
- 賃借権:地主に地代を払い土地を借りる権利。
譲渡や建て替えには地主の承諾が必要です。
日本の借地権のほとんどがこれに該当します。 - 地上権:地主の承諾なしに譲渡や転貸が自由にできる強力な権利(物権)。
数は非常に少ないです。
借地権の種類(旧借地権・普通借地権・定期借地権)
契約時期により適用される法律が異なります。
- 旧借地権:平成4年7月以前の契約。
借地人の権利が強く、半永久的に更新可能です。 - 普通借地権:平成4年8月以降の契約。
正当事由があれば地主からの更新拒絶が認められやすくなっています。 - 定期借地権:契約期間満了後、更新せずに更地返還する契約です。
建物所有を目的としない土地利用権との違い
駐車場や資材置き場など、建物を所有しない目的の賃貸借は「借地権」ではなく、借地借家法の保護対象外です。
相続時の扱いや地主の解約権限が大きく異なるため注意が必要です。
借地権を相続する際の手続きと流れ
借地権を相続する際の手続きは、以下のステップで進めます。
- 借地権の契約内容と権利関係を確認する
- 遺言書の有無を確認し遺産分割協議を行う
- 借地上の建物の相続登記(名義変更)を行う
- 地主へ連絡し、今後の利用について話し合う
Step1.借地権の契約内容と権利関係を確認する
「土地賃貸借契約書」で期間、地代、更新時期、特約などを確認します。
契約書がない場合は地代の振込履歴等が証拠となります。
あわせて法務局で登記簿謄本を取得し、名義人を確認しましょう。
Step2.遺言書の有無を確認し遺産分割協議を行う
遺言書がなければ相続人全員で「遺産分割協議」を行います。
借地権は「誰か一人が相続する」のが一般的です。
共有名義は将来、売却や建て替えの際に全員の同意が必要となり、権利関係が複雑化するためです。
Step3.借地上の建物の相続登記(名義変更)を行う
借地上の「建物」は必ず相続登記(名義変更)を行います。
建物名義を変えることで、第三者に対しても借地権を主張(対抗)できるようになります。
なお、センチュリー21中央プロパティーは提携司法書士・税理士と連携しており、借地権売却に必要な登記手続きや相続税申告を、ワンストップでサポート可能です。
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Step4.地主へ連絡し、今後の利用について話し合う
登記完了後、地主へ「相続した旨」と「新連絡先」を伝えます。
契約書の書き換えは必須ではありませんが、要望があれば覚書程度を交わすこともあります。
地主との関係が希薄で連絡しづらい場合は、専門家へ依頼するのも有効です。
センチュリー21中央プロパティーなら、経験豊富なスタッフが地主様への連絡・交渉を代行するため、精神的な負担なく手続きを進められます。
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借地権の相続にかかる税金と費用
借地権の相続時に発生する税金・費用は、主に以下の通りです。
- 相続税(借地権評価額の計算が必要)
- 登録免許税(相続登記にかかる税金)
- 承諾料(遺贈の場合のみ地主に支払う)
- その他諸費用(専門家報酬や書類取得費)
費用①:相続税(借地権評価額の計算が必要)
借地権は相続税の課税対象です。
借地権評価額は、以下の計算式で算出します。
| 借地権評価額 = 土地の更地評価額 × 借地権割合 |
借地権割合(30%〜90%)は国税庁の路線価図で確認できます。
費用②:登録免許税(相続登記にかかる税金)
建物の名義変更時に法務局へ納める税金です。
税額は「建物の固定資産税評価額 × 0.4%」です。
底地(土地)は地主名義のため課税されません。
費用③:承諾料(遺贈の場合のみ地主に支払う)
法定相続人以外が遺言で取得した場合のみ、地主へ承諾料(名義書換料)が必要です。
相場は借地権価格の10%程度です。
費用④:その他諸費用(専門家報酬や書類取得費)
司法書士への登記代行報酬(数万〜10万円程度)や、戸籍謄本等の取得実費がかかります。
相続後に地主の承諾が必要となるケースと承諾料の相場
借地権の相続後に地主の承諾が必要となるケースは、主に以下の通りです。
- 第三者へ借地権を売却・譲渡する場合
- 借地上の建物を建て替え・増改築する場合
- 借地の条件変更(期間延長など)を行う場合
ケース①:第三者へ借地権を売却・譲渡する場合
売却(借地権の譲渡)には地主の承諾が必要です。
承諾なしでは原則売却できません。
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承諾料の相場
譲渡承諾料(名義書換料)の相場は、一般的に借地権価格の10%程度と言われています。
ケース②:借地上の建物を建て替え・増改築する場合
建て替えや大規模リフォームも、契約上の制限により地主の承諾が必要です。
承諾料の相場
建替承諾料(増改築承諾料)の相場は、更地価格の3%〜5%程度となるのが一般的です。
ケース③:借地の条件変更(期間延長など)を行う場合
「木造のみ」を「鉄骨造可」にする、契約期間を延長する等の変更にも承諾料が発生します。
承諾料の相場
条件変更承諾料の相場は、一般的に更地価格の10%程度とされています。
地主が承諾してくれない場合の対処法
「売りたいのに地主が承諾しない」「法外な承諾料を請求された」という場合も、法的な解決策があります。
裁判所の許可を得る「借地非訟手続」とは
地主が正当な理由なく拒否する場合、裁判所に申し立てて地主の承諾に代わる許可(代諾許可)を得る手続きです。
適正な承諾料を支払うことで、地主の同意なしでも売却や建て替えが可能になります。
売却時に地主が行使できる「介入権」に注意
借地非訟手続で売却許可を求めた際、地主には「介入権(第三者と同条件で優先的に買い取る権利)」があります。
結果として売却はできますが、買主が地主になる可能性があります。
トラブル解決は弁護士や専門不動産会社へ相談を
地主との交渉は感情的になりやすいため、専門家を挟むのが賢明です。
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地主との交渉は全て熟練の借地権専門スタッフが代行するため、関係が悪化している場合でも現状のままで解決・売却まで進めることが可能です。
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相続した借地権の活用方法
相続した借地権を放置すると維持費がかかり続けるため、以下のような活用方法を検討しましょう。
- 相続人がそのまま住み続ける
- 地主の承諾を得て第三者に売却する
- 地主に借地権を買い取ってもらう
- 地主と協力して借地権と底地を同時売却する
- 等価交換で土地の所有権を取得する
活用方法①:相続人がそのまま住み続ける
実家に愛着があるなら居住するのが一番です。
名義変更と挨拶を済ませれば、これまで通りの条件で住み続けられます。
活用方法②:地主の承諾を得て第三者に売却する
住む予定がなければ売却を検討します。
市場価格で売れるため、多くの現金が手元に残ります。
ここで重要なのが費用です。
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活用方法③:地主に借地権を買い取ってもらう
地主自身に買い取ってもらう方法です。
仲介手数料がかからず早期に現金化できますが、価格は市場より低くなる傾向があります。
活用方法④:地主と協力して借地権と底地を同時売却する
借地権と底地(地主の権利)をセットで売る方法です。
「完全な所有権」として売れるため資産価値が上がり、双方に高値売却のメリットがあります。
活用方法⑤:等価交換で土地の所有権を取得する
広い敷地の場合、借地権と底地の一部を交換し、互いに「所有権の土地」を持つ方法です。
借地関係を解消でき、将来のトラブルを防げます。
借地権の相続でよくあるトラブル
借地権の相続でよくあるトラブルとしては、以下のようなものがあります。
- 契約書の書き換えや更新料を強要される
- 地代の値上げを要求される
- 相続人の誰が引き継ぐかで揉める(共有名義のリスク)
- 誰も住まない「空き家」となり管理不全になる
トラブル①:契約書の書き換えや更新料を強要される
相続を機に、借地人に不利な特約や地代増額を盛り込んだ新契約を迫られるケースです。
相続は契約内容をそのまま引き継ぐため、安易に署名してはいけません。
トラブル②:地代の値上げを要求される
「代替わり」を理由とした不当な地代値上げに応じる必要はありません。
受け取りを拒否された場合は、法務局に「供託」することで滞納を防げます。
トラブル③:相続人の誰が引き継ぐかで揉める(共有名義のリスク)
借地権は分けられないため遺産分割で揉めがちです。
「とりあえず共有名義」は、将来の売却や建て替えに全員の同意が必要となり、身動きが取れなくなるため危険です。
トラブル④:誰も住まない「空き家」となり管理不全になる
空き家を放置し老朽化させると、地主から契約解除を求められる恐れがあります。
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まとめ
借地権の相続に地主の承諾は不要で、名義書換料もかかりません。
しかし、その後の売却や建て替えには地主の協力が不可欠であり、関係がこじれると資産価値を損なうリスクがあります。
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借地権の相続における「地主承諾」に関してよくある質問
借地権の相続における「地主承諾」に関して、よくある質問とその回答をご紹介します。
Q1.相続にあたって地主と新しい賃貸借契約書を結ぶ必要はありますか?
A.原則不要です。
相続は従前の契約上の地位を承継するため、契約書は有効です。
不利な内容での巻き直しに応じる必要はありません。
Q2.借地権だけを相続放棄することは可能ですか?
A.できません。
相続放棄は「全ての財産」が対象です。
「借地権はいらないが預貯金は欲しい」という選択はできません。
手放すなら一度相続してから売却等を検討する必要があります。
Q3.更新時期が近い借地権を相続した場合どうなりますか?
A.更新手続きと更新料の支払いが必要です。
借地人の義務も引き継ぐため、契約や慣習に基づき更新料を支払うのが一般的です。
Q4.地主が底地を第三者に売却していた場合、権利はどうなりますか?
A.借地権は継続します。
地主が変わっても借地権は有効です。
建物が自分名義なら新地主に対しても権利を主張できます。
この記事の監修者
弁護士
エルピス総合法律事務所 代表弁護士/宅地建物取引士
東京大学法学部を卒業後、20年以上にわたり不動産法務の最前線で活躍するスペシャリスト。東京弁護士会に所属し、弁護士資格に加え宅地建物取引士の資格も有することで、法律と不動産実務の両面から深い専門知識と豊富な経験を持つ。
特に借地権における紛争解決においては、業界屈指の実績を誇り、借地権更新料問題、地代増減額請求、借地非訟事件、建物収去土地明渡請求など、複雑な案件を数多く解決に導いてきた。
著書に「事例でわかる 大家さん・不動産屋さんのための改正民法の実務Q&A」がある。メディア出演やセミナー登壇実績も多数。